禁煙外来

喫煙病という病気
日本では医療従事者ですら未だに喫煙を個人的趣味・嗜好の問題と考えている人が多くいます。
しかし、「禁煙ガイドライン」では、喫煙は喫煙病(依存症+喫煙関連疾患)という全身疾患であり、喫煙者は“積極的禁煙治療を必要とする患者”と認識すべきであるということが基本精神として明記されています。

喫煙は万病のもと
いうまでもなくタバコの煙には極めて多くの有害物質、発癌物質が含まれています。
したがって、喫煙は肺癌や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患、虚血性心疾患や脳血管障害といった循環器疾患、さらに多くの悪性腫瘍(喉頭がん、食道がんなど)の発生に関連しています。
また、喫煙は糖尿病や骨粗しょう症のリスクにもなることが知られています。
妊娠中の喫煙は流早産のリスクになるのみでなく、心身に異常を持つ子供を産むリスクとされています。
さらに、若年者が喫煙を始めると喫煙に対する依存度が強くなり、将来的な健康障害が懸念されます。
喫煙は疾病の原因の中で防ぐことができる最大のものであり、禁煙は今日最も確実に疾病を減らすことができる方法です。
すなわち、禁煙推進こそが患者さんの健康寿命を守ることに繋がり、さらには社会全体の健康増進にも寄与する最大のものといえます。

当院での禁煙サポート
おそらく多くの喫煙者の方が一度や二度は禁煙にトライし、失敗されてきたのではないでしょうか?
喫煙は趣味や嗜好の問題ではなく、麻薬や覚せい剤の使用と同じ依存症(病気)です。
したがって、いままでやめられなかったとしても、意志が弱いわけではありません。
現在ではいろいろな禁煙の方法が開発され、きちんと「病気」として治療をすれば、誰でもタバコをやめることができるようになっています。
禁煙に必要なものは意志や根性ではなく、正確な知識と正しい方法です。
当院のミッションである「健康寿命延伸を目指し、元気いっぱいの地域を作ること」を推進するために、禁煙をサポートすることは必須であると考えています。
一定の基準をみたしている患者さんは、保険診療での禁煙治療が可能です。
依存症の治療には離脱症状を伴うことが必然です。保険診療では禁煙補助薬(貼り薬、飲み薬)を使用することにより、離脱症状を軽減して「吸わなくても大丈夫な状態」になることを目指します。
当院では、1人でも多くの方の喫煙という病気を治す手助けをしたいと考えています。
禁煙したいとお考えの方、いつでも気軽にご相談ください。


禁煙外来のスケジュール
予備面接
 カウンセリングにより保険診療での禁煙治療が可能かどうか、治療プログラムについての説明をします。
初回診療(要予約)
 呼気中の一酸化炭素濃度測定、ニコチン依存度評価、禁煙開始にあたっての対処法指導、禁煙補助薬の処方を行います。
2回目以降
 基本的に2週間に1回の間隔で診療をします。禁煙状況、呼気中の一酸化炭素濃度測定、問題点の確認と対処法の検討を行います。
最終診療
 12週間後に終診となります。

保険診療で禁煙治療を受ける要件
1) 禁煙したいと思っている
2) 禁煙治療を受けることに同意する
3) 35歳以上では、1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数が200以上
4) 過去に保険診療で禁煙治療を受けたことがある場合、前回の治療開始日から1年以上経過している
5) ニコチン依存症と判断される
タバコ依存スクリーニングテスト
合計10の質問にお答えください
問1 : 自分が吸うつもりより、ずっと多くのタバコを吸ってしまうことがありますか?
問2 : 禁煙や節煙を試みて、できなかったことがありますか?
問3 : 禁煙や節煙でタバコが欲しくてたまらなくなることがありましたか?
問4 : 禁煙や節煙で次のどれかがありましたか? イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲増進、体重増加
問5 : イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲増進、体重増加の症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
問6 : 重い病気にかかって、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
問7 : タバコのために健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
問8 : タバコのために精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
問9 : 自分はタバコに依存していると感じることがありますか?
問10 : タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何回かありましたか?