副腎偶発腫瘍とは?

副腎は、腎臓の近くにあるホルモンを産生する内臓です。
副腎からはさまざまなホルモンが分泌されるため、副腎は生命活動を維持するためにも大切な臓器です。
近年、CTやエコーをすると偶然に副腎に腫瘍が見つかるケースも増えてきており、副腎偶発腫瘍(副腎インシデンタローマ)とよばれています。



副腎偶発腫瘍がみつかった場合には、
①その腫瘍が良性か悪性(がん)か
②ホルモンのバランスに異常がないか
を調べておく必要があります。
良性か悪性(がん)かの検査ってどうするの?
副腎にできる腫瘍の多くは良性ですが、稀に悪性(がん)のことがあります。
副腎がんの予後は悪いと言われていますので、悪性かどうかを判断することは重要です。
一般的ながんの診断は「生検」とよばれる一部の組織を採取して病理検査(顕微鏡検査)をすることが多いです。
しかし、副腎は体の奥底にあるため組織の採取すること自体が危険を伴うこと、生検だけで100%診断できるとは限らないことから、通常は生検を行いません。
そのため、CTやMRIといった画像検査で腫瘍の形や大きさ、性状などから専門的な知識に基づき総合的な判断をすることになります。
また、経過観察により、腫瘍が大きくなるかどうかも判断材料のひとつになります。
ホルモンバランスの検査ってどうするの?
良性であってもホルモンバランスの異常があれば治療の必要があります。
ホルモンのバランス異常があると、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化症、骨粗しょう症などの病気の原因になるため、場合によっては手術やお薬で治療を進めていくことになります。
ホルモンの検査ですが、まずはスクリーニング検査を行います。スクリーニング検査は、一般的な採血、採尿によって行います。
その検査の結果に基づき、さらに詳しい検査を進めていくことになります。

代表的な精密検査
検査の種類 方法
デキサメサゾン負荷試験

前日:指示された時間に処方されたお薬を内服します。
当日:朝食はせずに来院し、院内にて20~30分安静にした後に採血を行います。

カプトプリル負荷試験 朝食はせずに来院し、院内にて20~30分安静にした後に検査を開始します。お薬を内服した後、60分後に採血を行います。
生理食塩水負荷試験 朝食はせずに来院し、院内にて20~30分安静にした後に検査を開始します。点滴を4時間した後に採血を行います。(入院で行うことが多い検査です)
フロセミド立位負荷試験 朝食はせずに来院し、院内にて20~30分安静にした後に検査を開始します。注射をして2時間立位を保持した後に採血を行います。(入院で行うことが多い検査です)
迅速ACTH負荷試験 朝食はせずに来院し、院内にて20~30分安静にした後に検査を開始します。注射をして60分後に採血を行います。
※いずれの検査も服薬歴、合併症などを確認してから検査ができるかどうかを判断します。いずれの検査も結果がでるまでに数日かかりますので、後日結果説明となります。
当院での副腎偶発腫瘍についての診療
副腎偶発腫瘍の検査は、ガイドラインに沿った的確な診療が必要です。
当院では内分泌代謝専門医が、これまでの経験と最新の知識により診療を行います。
ホルモン検査は、スクリーニング検査、デキサメサゾン負荷試験、カプトプリル負荷試験、ACTH負荷試験などの内分泌学的専門検査も行っています。
画像検査は連携病院にご協力いただき、スムーズに診療が行えるように対応致します。
必要によって大学病院や島根県立中央病院などの総合病院へ紹介することも可能です。
最初の検査で問題がないと判断した場合にも、必ず定期的な経過観察が必要です。初めて副腎の腫瘍と言われた方は、聞きなれない臓器のことであり不安がいっぱいになると思います。
患者様の不安を少しでも解消するために、当院では適切な検査と説明を心掛けております。まずは受診、検査を受けてみましょう。